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研究室とラグビー部、その両方で本気を貫く——日本大学桜工ラグビー部

日本大学の校章である「桜」と、理工学部・生産工学部の「工」を冠した「日本大学桜工(おうこう)ラグビー部」。体育会本部のラグビー部とは異なる枠組みで活動する彼らは、指導者のいない環境で独自の組織運営を続けています。

グラウンドの確保から多額の資金管理、理系学部特有の多忙な学業との両立、そして1部昇格するための日々の練習。そこにあるのは、単なるサークルの範囲を超えた、学生たちによる試行錯誤の連続です。彼らがどのように組織としての責任を共有し、運営を成立させているのか、その実態を伺いました。

 

——日本大学桜工ラグビー部の概要を教えてください。

 

私たちは、日本大学の理工学部と生産工学部に所属する学生で構成されたラグビー部です。現在は1年生から4年生、大学院生を含めて約24名で活動しています。

活動頻度は週4日です。平日は各自でウェイトトレーニングや体力作りを行い、土日はメンバーが集まって実戦的な練習を行うサイクルを基本としています。参加している主な大会は「関東学生クラブ選手権」です。部員の約8割はラグビー経験者ですが、2割は未経験からスタートしており、それぞれの習熟度に応じた役割を担いながら、「1部昇格」という目標に向けて活動しています。

 

 

——「全員ラグビー」を実現するための戦略を教えてください。

 

私たちのチームでは、フォワードとバックスというポジションの境界を、必要以上にに分けない練習スタイルを採用しています。これは、限られた人数で戦うための現実的な戦略です。

サインプレーなど最低限の役割は決めていますが、基本的な練習メニューは、全員で共有しています。これにより、フィールド上のどの位置にいても全員が同じ判断基準でプレーできる状態を目指しています。

この方針は、未経験者の育成にも有効です。経験者の隣に必ず未経験者を配置し、プレー中も常に具体的な指示を送れる配置を徹底しています。未経験者が持つ「他競技の視点」を戦術に取り入れるなど、固定観念にとらわれないチーム作りを進めています。

 

——理系の学業と部活動をどのように両立させていますか?

 

理工学部と生産工学部の学生は、実験や研究、模型製作など課題が多く、学業とのバランスを取ることが非常に重要です。そこで私たちは、学業による欠席を認める文化を、明文化しています。

試験期間や研究が忙しくなる時期に合わせて、年間のスケジュールを調整しています。一方で、「学業以外の時間は部活動に100%集中する」というルールを設けることで、練習の質を維持しています。

また、同じ学部の先輩・後輩という関係性を活かし、勉強方法の共有や課題のサポートを互いに行っています。ラグビーを通じて築かれた信頼関係が、結果として学業面でも互いを支え合う関係につながっています。

 

 

——学生のみで運営する中で直面した課題は何ですか?

 

指導者が不在の環境では、運営に関わるすべての判断を学生自身で行う必要があります。特に大きな課題となっているのは、活動資金の管理と組織の規律維持です。

ラグビーの試合を行うためのグラウンド確保には、1回につき約4万円の費用がかかることもあります。年間の活動費は、一人あたり約20万円ほどに達するため、学生にとっては決して小さな負担ではありません。この限られた予算をどのように配分し、効率的に活動を継続させるかを常に検討しています。

また、監督という強制力を持つ存在がいないため、連絡の遅れや出席管理がルーズになりやすい側面がありました。学生同士の距離感が近いからこそ、組織としての締まりをどう維持するかが大きな壁となっていました。

 

——部員のモチベーションを管理するためにどのような対策を講じましたか?

 

「意識を高く持とう」といった呼びかけだけでは、チームを良い状態に保ち続けることはできないと考えました。そこで私たちは、具体的なツールを用いてチーム運営を仕組み化しています。その一つが、チーム管理アプリ「TeamHub」の導入です。

以前はグループLINEで連絡をしていたため、メッセージが流れてしまい、誰が出欠に回答していないのか把握しづらいという課題がありました。現在はTeamHubで出欠を管理することで、未回答者や欠席が続くメンバーを客観的に把握できるようになっています。

さらに、一定時間返信がない場合には、幹部が直接電話を入れるという運用ルールも設けています。こうした仕組みを整えることで、個人の性格やモチベーションに左右されないチームの規律を維持しています。

また資金面についても、支出の見直しを進めると同時に、日大付属高校のネットワークを活用してグラウンドを安価に借りられるよう交渉するなど、活動を持続させるための実務的な工夫を重ねています。

 

 

——部活動を通じて得られた学びは社会でどう活きると考えますか?

 

最も大きな学びは、自ら課題を発見し、解決に向けて組織を動かす「主体性」です。

指導者がいない以上、自分たちが動かなければチームは存続できません。タックルに恐怖心を持つメンバーに対して、論理的にステップを示して克服を促すといったコミュニケーションや、限られた予算内で最大の成果を出すための思考プロセスは、社会に出た際にも不可欠なスキルであると考えています。

20代の早い段階で多額の予算を管理し、一つの組織を自走させる責任を負った経験は、私たちの大きな強みになるのではないかと考えています。

 

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします

 

 

日頃より日大桜工ラグビー部を支援してくださっているOB、保護者、関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。皆様の支えがあるからこそ、私たちは日々ラグビーに全力で向き合うことができています。

私たちは次年度、関東学生クラブ選手権2部での優勝、そして1部昇格を目標に掲げています。学生主体の組織という強みを活かしながら、より緻密で強固なチームづくりに取り組んでいきます。

また、スポンサーとして私たちの活動を支えてくださる企業・団体の皆様とのご縁も、これから広げていきたいと考えています。活動を応援してくださる方々とともに、チームとしてさらに成長していければ嬉しいです。

そして新入生の皆さんへ。ラグビーは激しいスポーツですが、未経験からでも着実に成長できる環境と、学業面でも支え合える仲間がここにはいます。少しでも興味があれば、ぜひ一度見学に来てください。

これからも日大桜工ラグビー部への温かいご声援を、どうぞよろしくお願いいたします。