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「神戸の顔」となる強豪へ。自由な文化を日本一の基準にアップデート。——神戸大学男子ラクロス部

神戸大学体育会男子ラクロス部は、通算11回の関西制覇を誇る関西屈指の伝統校です。「自由」に考え、行動する校風を大切にしながら、現在はさらなる高みを目指して組織のアップデートを加速させています。自分たちの強みである主体性をいかにして「日本一を獲るための力」へと磨き上げているのか。主将の大谷直輝さんの言葉から、常に進化を続けるチームの現在地を探ります。

 

 

——神戸大学男子ラクロス部の概要を教えてください。

 

私たち神戸大学体育会男子ラクロス部は1989年に設立され、現在は1年生から4年生まで、マネージャーやスタッフを含め総勢75名で活動しています。練習は六甲台第一キャンパスグラウンドを拠点に、週5日(火・水・金・土・日)の朝7時半から10時半まで行っています。

最大の特徴は、全員が大学からラクロスを始めているという点です。野球、サッカー、バスケットボールなど、高校まで異なる競技に打ち込んできた仲間たちが、「新しいスポーツで頂点を目指したい」という思いで集まっています。

文理の割合は8:2で文系が多く、学業やアルバイトと両立しながらも、大学生活の多くの時間をこの場所に注いでいます。

 

——神戸大学ラクロス部の組織としての特徴を教えてください。

 

私たちの組織を一言で表すなら、「自由」です。

関西のライバル校である京都大学や大阪大学、関西学院大学は、非常にストイックで「真面目」な組織文化を持っている印象があります。それに対して私たちは、多様な競技背景を持つメンバーが集まり、「スポーツそのものを楽しむ」という感覚を大切にしているチームです。

ただし、私たちの言う自由は、単に楽をするという意味ではありません。監督からの指示を待つのではなく、自分たちで練習メニューを組み、自分たちで戦術を議論する。この「自走する楽しさ」こそが、私たちのアイデンティティです。

練習後に先輩が後輩を温泉に連れて行くような、学年を越えた仲の良さも、この自由な風土から生まれています。押し付けられた練習ではなく、「やりたいからやる」という自発的なエネルギーを勝利への推進力に変えることを理想としています。

 

 

——チームの課題と、その解決に向けた取り組みを教えてください。

 

自由な文化は、時に「自分たちに甘くなる」という側面も生みます。

2025年、私たちは大きなな敗北を経験しました。そこにあったのは、個々の技術ややる気の問題ではなく、組織としての「勝つための基準」が他大学と比べて曖昧だったという現実です。

そこで今年度、私たちはコーチ体制を一新しました。慶應義塾大学出身で日本代表経験のあるヘッドコーチを筆頭に、日本代表のディフェンスコーチ、さらに現役で最前線のスキルを持つオフェンスコーチを外部から招きました。

自分たちの内輪の視点だけでは気づけなかった、日本一を獲るための思考の深さ、基準の高さ、そして圧倒的な情報量が組織に注入されています。自由な気風を維持しながら、その土台にプロフェッショナルの基準を敷く。この「自由と規律」の融合が、今の私たちの大きな挑戦です。

 

——「分析スタッフ」という役割が生まれた背景を教えてください。

 

組織運営において私たちが大切にしているのは、全員が「違う場所で輝く」可能性を捨てないことです。

現在、4年生には「アナライジングスタッフ(AS)」という役職の学生が2名います。彼らはもともとプレイヤーでしたが、実力の壁に直面し、一度は部を辞める寸前まで追い込まれていました。

しかし彼らは、「プレイヤーとしてではなくてもチームの勝利に貢献したい」と考え、自らASという役職を立ち上げました。

今では対戦相手の傾向分析や自チームの統計データの抽出を担い、戦術の根拠を提示するチームの「脳」として欠かせない存在になっています。一度挫折しかけた人間が、自分の役割を再定義し、組織を支える。このプロセスこそが、私たちの組織の強さを示していると感じています。

 

——新歓に力を入れている理由を教えてください。

 

ラクロスは大学スポーツ界ではまだマイナーな競技です。普通に勧誘するだけでは、優秀な層はアメリカンフットボール部などのメジャー競技に流れてしまいます。

そこで私たちは、4月に「大運動会」という大規模な新歓イベントを主催しています。これはラクロスに限定せず、新入生同士のつながりを生む場として提供するイベントです。昨年は100名を超える学生が参加しました。

女子部とも連携し、まずは「ラクロス部というコミュニティの面白さ」を知ってもらうことに徹しています。結果として、そこから毎年20名近い熱量の高い仲間が加わっています。

 

 

——チーム全体の熱量をどう高めていますか?

 

75名という大きな組織において、全員が同じ熱量を維持することは簡単ではありません。特にBチームのメンバーにとっては、試合に出られない葛藤の中でどう基準を高く保つかが大きな課題になります。

私たちは「縦割りグループ制度」と「ブラザー制度」を導入しています。ポジションや学年を横断した小グループを作り、上級生が下級生の状況を把握しながら声をかけていく仕組みです。

ただ、最終的には主将である私自身の「対話の量」が重要だと思っています。一人ひとりと向き合い、悩みを聞き、目指す基準を共有する。その積み重ねによって、組織の末端まで「日本一を狙う当事者」としての意識を浸透させたいと考えています。

 

——ラクロスを通じて得られる学びを教えてください。

 

ラクロスは、どれだけ時間を捧げても勝敗が残酷なほど結果がはっきり出るスポーツです。私は野球部出身ですが、大学生活の多くを賭けたこの4年間で知った「真剣勝負の楽しさと厳しさ」は、何物にも代えがたい経験です。

特に組織運営の難しさは想像以上でした。自我の強いメンバーが、どうすれば同じ目標に納得して向かえるのか。話し合いを重ね、基準を揃え、個々の強みを引き出していく。このプロセスは、そのまま社会に出た後の組織づくりにもつながる原体験になると思います。

多くの先輩が各業界の大手企業で活躍しているのも、この「自走する組織」での経験が評価されているからだと感じています。

 

 

——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。

 

私たち神戸大学男子ラクロス部は、全員が大学からこの競技を始めました。大学生活をこの競技に賭け、チームの勝利と個人の成長を追い求めている集団です。

今年度は「関西奪還」を至上命題として掲げています。しかし私たちの目標は、その先にあります。学生日本一、そして全日本選手権での優勝です。

神戸大学だけでなく、「神戸の顔」と呼ばれるような強豪チームを築きたい。OB・OG、ご家族、そしてファンの皆様で観客席が埋まるようなチームを目指しています。

私たちの全てを懸けたプレーを、ぜひグラウンドで見てください。皆さんの心を動かすラクロスを、必ずお見せします。