「ゼロイチを踏み出した人」を採る。学歴社会に違和感を持った2人が起業した理由——株式会社Waku Lab
「学歴より、いま何ができるか。」
株式会社Waku Labが掲げるのは、学歴や肩書きではなく“挑戦と実力”で人が評価される社会です。受託開発・SaaSという2つの事業を通じて、若い挑戦者が一歩踏み出せる場をつくってきました。
今回は、学生時代に出会い共同創業した藤原優希さん・草野龍輝さんに、事業の狙い、実力主義の採用基準、そして学生のうちに積むべき経験を伺いました。

——貴社の事業内容を教えてください。
藤原さん:
当社の事業は、大きく分けて2つあります。
一つ目が、Webやアプリを中心とした受託開発事業です。この事業の強みは、開発だけでなく、要件定義や設計段階から入り、「そのプロダクトで何を実現したいのか」「事業としてどう成長させたいのか」といった、要件定義から開発、実装部分まで一貫して支援できる点です。
二つ目が、SaaS事業です。2026年1月現在は、レンタル事業者向けとSES事業者向けに、現場の課題を解決するサービスを展開しています。いずれも、実際に業界の声を聞く中で見えてきた不便さや非効率さなど、リアルな課題を起点に開発しているのが特徴です。

——お二人の経歴と、起業に至った背景を教えてください。
藤原さん:
私は学生時代からデザイン(UI/UX)に取り組み、独学で案件も受けてきました。新卒ではSES企業でWeb事業部の立ち上げ責任者を担い、クリエイティブだけでなく“事業として伸ばす”視点を現場で鍛えられました。その経験を土台に、2025年7月にWaku Labを創業し、同年12月に独立しました。
もともと起業への想いは強く、将来は必ず会社を立ち上げるつもりでした。父が経営者だったこともあり、「社長になる」という意識は自然と自分の中に根付いていたと思います。当初は新卒で数年経験を積んでから起業する予定でしたが、学生時代に草野と出会い、価値観や熱量が重なったことで、「今やろう」と決断しました。どうせ働くなら、ただ仕事をこなすのではなく、ワクワクしながら挑戦できる場所をつくりたい。そんな想いが、独立や起業の原点になっています。
草野さん:
私は幼少期から「お金を稼ぐ」「事業をつくる」という世界が身近にある環境で育ちました。母は専業トレーダー、父も投資や印刷関連の事業を営む経営者で、会社経営やお金の流れに触れる機会が多かったと思います。一方で、コロナ禍で事業が立ち行かなくなる現実も目の当たりにし、「経営は面白そうだけど、同時に怖さもある」という感覚も持っていました。学生時代にはFXで一定の成果を出した経験もあり、「起業できるかもしれない」という手応えを感じた時期もありました。しかし、その一歩を踏み出す決断ができず、悩みながら大学3年生になり、周囲が就職や将来の話をし始める中で、藤原と将来について話す機会が増えました。そこでお互いに「いずれ起業したい」という想いを持っていることが分かり、私の方から「社長は藤原がやってほしい。自分はナンバー2として自由に動きたい」と声をかけました。藤原が覚悟を決めてくれたことが、今の会社のスタートにつながっています。
私も株式会社Waku Labに入る前に、新卒として会社で働く経験をしました。社会人経験を通じて、上司がいる環境で働くことの大変さや、組織の在り方が人に与える影響も実感しました。特に「どんな環境をつくるか」で、人のモチベーションや定着率が大きく変わるという気づきは、今の組織づくりにも強く生きています。紆余曲折はありましたが、起業前に社会を知れたことは、自分にとって大きな学びだったと感じています。
——会社のミッションである「学歴社会から実力社会へ」を掲げた想いについて教えてください。
草野さん:
このテーマに一番強い違和感を持っていたのは私自身だと思います。もちろん、学歴や学力といった「地頭の良さ」が評価されること自体を否定するつもりはありません。しかし、それが評価の大部分になってしまっている今の社会には、大きな歪みがあると感じています。実体験として強く残っているのが、就職活動や採用の現場で目にした「学歴フィルター」です。学歴は努力の一つの結果ですが、それだけでその後の可能性が決まるわけではないと思っています。何を学び、どんな経験を積み、どんな成果を出してきたのか。その部分こそが、本来もっと評価されるべきではないでしょうか。だからこそ当社では、採用や仲間選びの基準として、「ここまでに何をしてきたか」「そこから何を学び、どう会社に貢献できるのか」「どれだけ即戦力になれるのか」という点を重視しています。この考え方を、まずは自分たちの会社で徹底し、ゆくゆくは社会全体に少しでも広げていきたい。その想いから、「学歴社会から実力社会へ」というミッションを掲げています。
——「学歴社会ではなく実力社会」という想いがあるからこそ、採用の際に見ているポイントはありますか?
藤原さん:
採用時に「実力」を見るということを我々は大事にしており、エンジニアの場合は技術試験を設けています。履歴書や学歴ではなく、「その場で何ができるか」「実際に手を動かしてどれくらい価値を出せるか」を見ます。例えばデザイナーであればポートフォリオだけでなく、課題を出して実際のアウトプットを見る形を取り入れています。「どこの学校を出たか」ではなく、「今、何ができて、どんな価値提供ができるか」という視点が、当社の考える“実力”であり、採用で最も大切にしているポイントです。
草野さん:
私たちが重視するのは「ゼロから一歩踏み出した経験」です。結果の大小より、未知の領域に足を踏み入れた事実と、その過程で何を学んだかを見ています。たとえば小さなビジネスコンテストへの挑戦でも十分価値があると考えています。ビジネスは最初、何も分からないのが当たり前ですし、強い人たちがいる世界に、自分から足を踏み入れる勇気そのものは評価に値すると考えます。結果の大小よりも、「0→1の挑戦した事実」を何より大切にしています。逆に言えば、学歴や肩書きよりも、「何を怖がり、どう乗り越えてきたか」「その中で何を学んだか」を見ています。教育やスキルは、そうした姿勢を持っている人であれば後からいくらでも伸ばせる。だからこそ、まずは踏み出したかどうか、そこを一番の判断基準にしています。

——働くメンバーの特徴や、社内の雰囲気づくりで大切にしていることを教えてください。
藤原さん:
現在のチームは、設立メンバーや業務委託の方を含め15名(デザイナー2名、営業2名、エンジニア11名)で動いています。(取材当時)社内の雰囲気を一言で表すなら、「立場や年齢に関係なく、フラットに話せる空気感」です。上下関係や役職といった壁がほとんどなく、誰に対しても率直に意見を言える状態を大切にしています。コミュニケーションの土台として意識しているのが、意見はまず受け止め、必ずフィードバックを返すこと。アイデアが出なくなることが最大のリスクだからです。
だからこそ、ブレインストーミングのように、まずは自由に出し切れる場をつくることを意識しています。
一方で、すべてが自由というわけではありません。人としての在り方や社会人としての基本的な部分については、お互いに指摘し合う関係性があります。“任せるけれど、放置しない”距離感が、チームの信頼関係を支えています。
——学生のうちに、特に意識してほしいことは何ですか?
藤原さん:
私は、「何か一つ、挑戦した実績をつくること」を提案します。多くの学生が、就職活動の段階で「自分には何のスキルがあるかわからない」と悩みます。しかし、最初から明確な専門性がなくても問題ありません。大切なのは、なにかコンテストやコンペなどに挑戦してみること。結果が出なくても構いませんし、受賞できなくてもいい。そこに向けて何を考え、どう取り組んだのか、そのプロセス自体が価値になります。たとえばクリエイターであれば、架空の企業を想定してつくった作品よりも、実際の企業に向けてつくったアウトプットの方が、圧倒的に説得力があります。うまくいったかどうかより、「実践の場に立った経験」が、その後のキャリアに大きく影響します。学生のうちから、社会とつながる経験や、自分なりの挑戦を積み重ねておくことが、社会に出たときの自信と選択肢につながっていくと思っています。
草野さん:
私が伝えたいのは、「学生時代の“自由さ”を、思いきり使ってほしい」ということです。可能な範囲で、いつもと違う環境に飛び込む経験を増やしてほしいです。旅行でも、初めての土地に行くことでも構いません。外国や島など、普段行かない場所に足を運んだりすると、人の優しさや、そこでしか見られない景色、吸えない空気に触れることができます。そうした体験は、感性を確実に磨いてくれますし、後から振り返ったときに自分の軸になる経験になります。同時に、会えるうちに人に会っておくことも大切です。遠くに住んでいる家族や、お世話になった人などのもとへ足を運ぶことは、時間に余裕がある学生時代だからこそできることだと思います。
——最後に、学生や若い世代に向けてメッセージをお願いします。
藤原さん:
将来的には、挑戦したい人に対して起業支援を行います。最初は小さな挑戦でもいいので、まずは動いてみる。その積み重ねが、キャリアを大きく変えていくと思っています。成長したい人、面白いことを本気でやりたい人にとって、当社はきっとワクワクできる場所です。一緒に挑戦していける仲間と出会えることを、楽しみにしています。
草野さん:
当社はこれから、3年以内のホールディングス化、さらに中長期では年商50億、経常利益10億規模の会社を目指しています。その過程で、従業員数は300名ほどまで増やし、学歴や肩書きではなく「その人に何ができるか」「どんな挑戦をしてきたか」で評価される、完全な実力主義の組織をつくっていきます。その中で、私たちが一番大事にしているのは、数字や規模以上に「面白い会社」であること。挑戦したい人がいて、その一歩を踏み出せる場があって、失敗も含めて前に進める環境を用意することが私たちの役割です。だからこそ、これからはまず積極的にインターンを採用していきたいと考えています。

藤原 優希
代表取締役
学生時代からデザイン領域で活動し、UI/UXやWeb制作を中心に経験を積む。新卒でSES企業に入社後、Web事業部の立ち上げ責任者を務める一方で、在職中に株式会社Waku Labを創業。「ワクワクしながら働ける環境」を軸に、事業と人の可能性を広げる組織づくりに挑んでいる。
草野 龍輝
副社長 / COO
幼少期から経営やお金に近い環境で育ち、学生時代より起業を志す。社会人経験を経て、藤原氏とともに株式会社Waku Labを共同創業。営業・事業推進を担いながら、「学歴ではなく実力で評価される社会」を実現するため、挑戦の場づくりに力を注いでいる。