「4年生で急成長する人材」はなぜ生まれるのか。部員88名の個性を爆発させる組織マネジメントとは——同志社大学ラクロス部男子
「カレッジスポーツの王様」と呼ばれるラクロス。その多くが大学から競技を始めるからこそ、努力が正当に実力へと反映される面白さがあります。同志社大学体育会ラクロス部男子は、現在88名の部員を抱え、関西一部リーグでしのぎを削る強豪校です。
しかし、彼らの真の魅力は、戦績以上にその「組織の在り方」にあります。学生自ら分析班を立ち上げて戦術を科学し、スポンサー獲得のために企業へ足を運びます。
今回お話を伺ったのは、主将の桐山翔太さん、分析班リーダーの遠藤樹さん、スポンサー担当の須井大和さんの3名です。多様な個性を尊重しながら「関西制覇」という一つの目標へ向かう、その挑戦に迫りました。

——同志社大学ラクロス部男子とは、どのような団体なのでしょうか?
私たちは、同志社大学京田辺キャンパスを拠点に活動しています。現在、1年生から4年生まで合わせて88名が所属しており、週に5回(火・水・金・土・日)の練習に励んでいます。
私たちの最大の特徴は、ほぼ全員が大学からラクロスを始めた「未経験者集団」であることです。高校まではサッカー、バスケ、吹奏楽など、全く異なる分野にいたメンバーが集まり、同じスタートラインから日本一を目指しています。
ラクロスは「地上最速の格闘球技」とも呼ばれ、時速160kmを超えるシュートや激しいボディコンタクトが魅力のスポーツです。運動神経ももちろん大切ですが、それ以上に「道具(クロス)をいかに使いこなすか」という技術的な要素が大きいです。つまり、努力がそのまま実力に直結しやすい競技です。
未経験からでも成長を実感しやすく、やればやるほど上手くなる——その成長スピードに魅了された仲間たちが、日々切磋琢磨しています。
——他大学にはない、同志社ならではの強みは何ですか?
同志社の強みは、一言で言えば「個性を殺さない自由な文化」にあります。内部進学者や帰国子女など、多様なバックグラウンドを持つ部員が多く、上下関係の壁も低いのが特徴です。後輩が先輩にフランクに相談できる環境があり、それが風通しの良さにつながっています。
私たちはこの「自由」を、単なる放任ではなく「一人ひとりの強みを引き出すための環境」と捉えています。
自分たちの組織を自分たちで作り上げる「学生自治」の精神が根付いており、それぞれが主体的に考え、動くことができます。この「個性の尊重」がチームの爆発力に繋がり、2024年の全日本新人選手権での優勝や、関西一部リーグでの躍進を支える原動力となっています。

——日本一を掴み取るための、日々の練習や工夫を教えてください。
私たちの練習は、常に「時間との戦い」です。1回のグラウンド練習は2〜3時間と限られています。その中で、最も過酷で、かつ私たちが力を入れているメニューが「グラウンドボール(地面に転がったボールの奪い合い)」です。オフェンスもディフェンスも関係なく、全員が低い姿勢で泥臭くボールを奪い合います。クロスが激しく叩き合い、体と体がぶつかり合うその光景は、まさに格闘技そのものです。体力的に最もハードなこの練習で、最後の一球に食らいつく執着心を養っています。
また、質の高い練習を実現するために、各ポジションリーダーがメニューを細分化し、「なぜ今、この動きが必要なのか」を論理的に言語化して共有しています。さらに、最近ではアップとダウンの際の「雰囲気づくり」を大切にしています。練習の始まりから終わりまで、全員のベクトルを一つに合わせ、高い熱量を維持し続けています。
——遠藤さんが主導となって、分析班をゼロから組織化されたそうですね。組織運営をするうえで大切にしていることはありますか?
「学生だからこそ、プロ意識を持って組織を運営する」ことを何より大切にしています。実は私は高校時代からラクロスという競技が大好きで、大学では単なるサポート役にとどまらず「自らも当事者として、勝利に直接貢献したい」という強い思いがありました。
そこで、もともと数字を扱うことが得意だった自分の強みを活かそうと考え、分析班(AS)の組織化に踏み切ったのです。当時はまだ、感覚に頼ったプレーも多かったのですが、データの重要性を確信していた私は、関東の強豪校や日本代表の分析官の方々に自らコンタクトを取り、独学でノウハウを学びに行きました。
現在は、単に数値を集計するだけでなく、独自の計算式を組んでショット成功率などを可視化し、選手が納得できる根拠を持ってフィードバックを行っています。
また、運営面ではスポンサー班が、学生主体で企業へアプローチして資金面からチームを支える体制も整えています。自分たちで課題を見つけ、組織をアップデートしていくこのプロセスそのものが、社会でも通用する「課題解決能力」を磨く最高の場になっているのではないかと感じています。

——この4年間で、どのような成長や経験が得られると思いますか?
ラクロス部での4年間で得られる最大の収穫は、「目が出るまでやり抜く圧倒的な継続力」です。ラクロスは上達に時間がかかる競技ですが、3年生まではベンチ外だった選手が、4年生になって急激に才能を開花させ、エースとしてチームを救う場面がよくあります。その「急成長の瞬間」を間近で見られること、そして自分自身がその当事者になれることが、この部の醍醐味です。
また、88名という大所帯を動かす中では、熱量の差に悩むこともあります。しかし、背景の異なるメンバーと対話し、同じゴール(関西制覇)に向かってベクトルを合わせていく経験は、人間力を大きく底上げしてくれると感じています。最初はパスもまともに通らなかった初心者が、最後は「日本一」を本気で狙う集団の一員になる——この大きな成長体験は、一生モノの財産になると確信しています。
——皆さんが最も大切にしている文化や価値観を教えてください
私たちが最も大切にしているのは「組織を愛し、社会から愛される」という理念です。これは、単に勝つだけでなく、周囲から「応援したい」と思われる存在であり続けることを意味します。練習中の挨拶、施設への感謝、そして何より「明るく、楽しむ」雰囲気作り。全員が高い熱量を維持しながら、全員が笑顔でラクロスに没頭できる環境を理想としています。
この理念を体現するために、月に一度はコンプライアンスミーティングを実施し、部員としての自覚を再確認しています。SNSでの発信にも力を入れており、自分たちの活動を「透明性を持って社会に届ける」ことを意識しています。足がつってしまうほど全力で練習に打ち込む姿も、試行錯誤しながら組織を変える姿も、すべては「社会から愛されるチーム」になるための挑戦です。

——応援してくれる企業や、ご支援してくれている方々へメッセージをお願いします
いつも同志社大学ラクロス部男子を温かく見守っていただき、本当にありがとうございます。私たちは今、昨シーズンの悔しさを胸に、悲願である「関西制覇」に向けて日々練習に励んでいます。こうして挑戦を続けられているのも、皆様のご支援があってこそだと感じています。
私たちは、結果や姿勢を通して、少しでも恩返しができるチームでありたいと思っています。チーム一丸となり、本気で目標に向かって取り組む姿をお見せできるよう、これからも努力を重ねていきます。
もしよろしければ、SNS(InstagramやTikTok)などを通して、私たちの活動を見守っていただけると嬉しいです。また、試合会場にも足を運んでいただけたら、選手一同とても励みになります。これからも、ご支援・ご声援のほどよろしくお願いいたします。
