最強の戦略は「自分たちで考えること」。私たちが証明する、学生主体の底力——同志社大学ラクロス部女子
カレッジスポーツの代表格であるラクロス。同志社大学体育会ラクロス部女子は、学内にある50の体育会の中で、2番目に新しいチームです。彼女たちの最大の特徴は、練習メニューの考案から資金繰りに至るまで、運営のすべてを学生のみで担っている点です。
歴史が浅いこのチームには、守るべき古い慣習も、あらかじめ用意されたマニュアルもありません。あるのは「学生日本一」という高い目標と、それを自力で掴み取ろうとする強い主体性だけです。
限られた環境の中で、彼女たちはどのようにして独自の強さを生み出してきたのでしょうか。主将の岩口陽色さんとスポンサー班長の藤平煌さんに、その組織づくりの裏側を伺いました。

——貴団体について概要を教えてください。
私たちは現在、4学年合わせて約70名で活動しています。目標は一貫して「学生日本一」です。過去には全国準優勝という実績もありますが、現在は関西ベスト3(ファイナル3)という壁に突き当たっています。この現状を打ち破り、史上初の頂点に到達するために掲げた今年度のスローガンが「BREAK」です。
この言葉には、自分の殻を破り、目の前の相手を破り、組織の限界を突破するという強い意志が込められています。実はこのスローガン、部員が好きな楽曲の歌詞から着想を得たものですが、1人ひとりの個人目標や、チームが直面している課題を「打ち破る」というイメージにピッタリと重なりました。全員がこの言葉を心に刻み、日々の練習に励んでいます。

——限られた練習環境の中で、どのように工夫して練習しているのでしょうか?
私たちの練習は、朝7時半から始まります。これは、私たちが体育会の中で歴史が浅く、専用グラウンドを持っていないためです。アメフト部などの他部活が使用しない早朝の時間帯をお借りして練習していますが、私たちはこの環境をむしろ「自分たちを律する機会」として捉えています。
早朝練習のおかげで、1日の充実度は格段に上がります。1限の授業にも遅れず出席できますし、夕方からはアルバイトや学業に集中できる。生活リズムが整うことは、社会に出てからも大きなアドバンテージになると考えています。また、限られた練習時間の中で質を高めるために、授業の関係で参加できない部員は鴨川沿いで壁打ちをしたり、他大学の練習に参加する「武者修行」を自ら企画したりと、場所や時間の制約を「工夫」で乗り越える文化が醸成されました。
——経験者と初心者が混在する中で、どのようにチーム全体のレベルを高めているのでしょうか?
私たちは、経験者が初心者を引き上げる仕組みをチーム全体で作ることで、全体のレベルを高めています。同志社には高校からの経験者が約3割いますが、残りの7割は未経験者です。この「3:7」の構成が、私たちの強さの源泉になっています。経験者は「自分たちだけでは勝てない」ということを理解しており、初心者をいかに引き上げるかに力を注いでいます。
例えば、自主練習の時間にマンツーマンで指導したり、プレー動画を細かく分析して共有したりと、技術をチーム全体で底上げする取り組みを行っています。初心者もそのサポートに応えようと努力を重ね、驚くほどのスピードで成長していきます。
特に、ラクロス特有の基本技術である「クレードル」は、誰もが最初にぶつかる壁です。しかし、その壁をチーム全員で乗り越えていく過程が、技術だけでなく結束力の向上にもつながっています。

——ラクロス部女子において、スタッフの存在とはどのようなものでしょうか?
女子ラクロス部のスタッフは、単にボトルを運んだり時間を計ったりするだけの存在ではありません。私たちはスタッフを、選手とは異なる視点から勝利に貢献する「専門職」だと位置づけています。スタッフには、マネージャーやトレーナー、データ分析などそれぞれの役割があり、選手からも主体的に意見を発信する存在として期待されています。
練習中に異変を察知して声をかけるのはもちろん、試合直前の張り詰めた空気の中で「今のプレー、良かったよ!」と俯瞰的な立場からポジティブなエネルギーを届けることもあります。さらに、スタッフが戦術面について意見を伝えることで、選手だけでは気づけない視点がチームにもたらされます。
選手とスタッフが対等に「日本一」を追い求める関係性こそが、同志社ラクロス部女子の強さです。

——学生主体でチームを運営していると伺いました。具体的にはどのような体制なのでしょうか?
私たちは日々の練習メニューの作成から、試合のメンバー選定、さらには年間予算の管理まで、ほぼすべてを学生だけで行っています。自由度が高い環境である一方で、それだけ責任も大きい役割だと感じています。例えばスポンサー活動一つとっても、企業との契約内容が適切か、トラブルにつながる可能性はないかなどを学生自身で調べ、考え、判断していかなければなりません。
私たちは、与えられた環境の中で課題を見つけ、自分たちで解決策を考えながらチームを運営しています。時にはコーチやOB・OGの方々の力をお借りすることもありますが、最終的には自分たちの責任で決断し、前に進んでいきます。
こうした「学生主体」の経験は、まさに社会の縮図だと感じています。周囲を巻き込みながら信頼関係を築き、目標に向かって進んでいく。そのプロセスを学生のうちから経験できることは、私たちにとって一生の財産になると確信しています。
——いつも応援してくださっている方々へのメッセージをお願いします。
日頃より、私たちの活動を支えてくださっているスポンサーの皆さま、そして応援してくださるすべての方々に心より感謝申し上げます。専用グラウンドを持たず、歴史も浅い私たちが「日本一」を本気で目指せるのは、皆さまという心強い後ろ盾があるからです。
私たちは、単に試合の結果で恩返しをするだけでなく、1人の人間として、1つの組織として「同志社を応援して良かった」と思っていただける存在であり続けたいと考えています。学生主体だからこそできる改革、学生主体だからこそ生み出せる熱量で、皆様と一緒に「日本一」という景色を見に行きたいと本気で思っています。これからも私たちの挑戦を、温かく、時に厳しく見守っていただければ幸いです。
