発信のハードルを下げ、自分らしさは残す。AIで届ける“等身大の声” ——株式会社Sunshore
SNSは、仕事にも個人の活動にも欠かせない存在になりつつあります。一方で、「何を投稿すればいいかわからない」「続かない」「自分の言葉じゃない気がする」と悩み、発信を止めてしまう人も少なくありません。そんな課題に向き合い、“その人らしさ”を保ったまま発信を続けられる仕組みとして生まれたのが、株式会社Sunshoreが提供するSNS運用支援サービス「カッテニ」です。
今回は代表取締役の勝村悠里さんにお話を伺い、起業のきっかけや開発の原点となったお話、これからの学生に向けてのメッセージをお伝えしていきます。
——貴社の貴社の事業内容を教えてください。
当社は、SNS運用を効率化するサービス「カッテニ」を開発・提供しています。「カッテニ」は、SNS投稿の作成・予約・分析までを一括で管理できるアプリで、「SNSを続けられない」「何を投稿すればいいかわからない」といった悩みを解消することを目的としています。特徴的なのは、ユーザー本人の投稿傾向や言葉遣いを学習し、“その人らしい投稿文”をAIが提案してくれる点です。単なるテンプレート生成ではなく、「自分らしさ」を保ったままSNSを続けられる仕組みを目指しています。

——「カッテニ」を開発した背景について教えてください。
背景にあったのは、「発信したい気持ちはあるのに、続かない人が本当に多い」という課題です。SNSやブログは、今や仕事や個人の活動に欠かせないものですが、「何を書けばいいかわからない」「時間がかかりすぎる」「これで合っているのか不安」と感じて、途中で止まってしまう方がとても多いと感じていました。AIツールはすでに数多くありますが、使ってみると“便利だけど、自分の言葉じゃない”という違和感が残ることもあります。その結果「負担は減るが、結局は使わなくなる」というケースも少なくありませんでした。それなら単に文章を作るAIではなく、「その人が発信を続けられること」を一番のゴールにしたサービスを作りたい。そう考えて生まれたのが「カッテニ」です。発信のハードルを下げながらも、「自分の言葉で伝えている感覚」は失わない。その両立を目指しました。
——「カッテニ」の“あなたになりきりAIライター”という発想は、どこから生まれたのでしょうか?
私自身が、AIが書いた文章に対して「正しいけど、なんか自分じゃない」と感じたことが大きなきっかけです。文章としてはきれいでも、「これを自分の名前で出すのはちょっと違うな」と思ってしまう。その違和感は、多くの人に共通するものだと思います。一方で、発信が続いている人の文章って、必ず“その人らしさ”があります。言葉の選び方やリズム、ちょっとした言い回しに人柄がにじむ。そこで、「正解の文章を作るAI」ではなく、「その人になりきって考えるAI」が必要なんじゃないかと思いました。
カッテニでは、過去の投稿や価値観、話し方をもとに、「この人ならどう書くか」を一緒に考えます。AIに丸投げするのではなく、あくまで“自分の感覚が軸”になる設計です。“あなたになりきりAIライター”という発想は、効率化のためというより、「自分の言葉で発信している感覚を守るため」に生まれました。その感覚があるからこそ、無理なく、長く発信を続けられるのだと思っています。

——競合との差別化ポイントを教えてください。
大きく分けて、差別化ポイントは3つあります。
一つ目は価格です。多機能なSNS運用ツールやAIライティングツールは、どうしても高額になりがちです。しかしカッテニは、個人で発信している方や小規模事業者の方でも無理なく使い続けられるよう、必要な機能に絞り、現実的な価格帯を設定しています。発信は“続けること”が何より大切だからこそ、金額面でのハードルは極力下げたいと考えました。
次にUIのシンプルさです。SNSが得意な人だけでなく、「何を書けばいいかわからない」という方でも使えるように、あえて機能を詰め込みすぎない設計にしています。画面を見て直感的に使えて、考える負担を増やさないことを重視しています。
三つ目は「AIっぽさ」を感じさせない投稿文です。カッテニは、いかにもAIが書いたような無機質な文章ではなく、その人の言葉や“温度感”を大切にしています。自然な表現で、「これ、自分が書いたと言っても違和感がない」と感じてもらえることを目指しています。実際に使っていただいた方からも、「AI感がなくて使いやすい」「自分らしい発信ができる」という声をいただいています。

——勝村さんの起業の原点を教えてください。
起業を意識するようになったきっかけは、レイスグループに勤めていたときに経営者の方々と商談をする中で、憧れる女性経営者の方と出会ったことです。仕事も人生も自分で選び取り、しなやかに活躍している姿を間近で見て、「こんな生き方があるんだ」と強く惹かれました。また私は自分自身の人生設計として、30歳前後で出産したいという希望があり、その前に2〜3年ほど自由に世界中を旅したいと考えていました。そのためには、場所に縛られず、旅をしながらでも収入が入る状態をつくる必要があります。こうした経験や想いが重なり、「いつか」ではなく「今動かなければ」と感じるようになりました。憧れのロールモデルとの出会いと、自分のライフプランが起業という選択につながったのが、私の原点です。
——前職を退職後、原付で日本一周を経験したと伺いました。日本一周の旅で印象に残っているエピソードはありますか?
日本一周の旅は、想像以上に“生きる力”を試される経験でした。特に印象に残っているのは、宿探し・野宿禁止という制約の中で、どうやって毎日を乗り切るかを考え続けたことです。その中で転機になったのが、SNSでの発信がバズったことです。それをきっかけに、自分から各宿泊施設に営業をかけた結果、「うちに泊まっていいよ」とお声がけをいただき、PR宿泊という形で人とのつながりが広がりました。発信一つで状況が大きく変わる経験は、今の事業づくりにも直結しています。一方で、決して楽しいことばかりではありませんでした。旅の途中で事故に遭い、救急搬送されることもあり、「本当に命の危険があるんだ」と実感した瞬間もあります。その出来事を通して、無理をしすぎない判断力や、自分の身を守る意識の大切さを強く学びました。
日本一周は、自由であると同時に、すべてが自己責任の旅です。だからこそ、考えて行動する力や、人に頼る勇気、そして一歩踏み出す強さが身についたと感じています。今振り返っても、人生観を大きく変えた経験の一つです。

——日本一周での経験は、今の事業にどうつながっていますか?
日本一周の旅を通して、視野が一気に広がりました。それまでは、働き方や生き方について、どこかで「こうあるべき」という固定観念を持っていました。しかし実際に旅に出てみると、その考えはいい意味で崩されました。各地で出会ったのは、必ずしもいわゆるホワイトカラーの働き方をしていない人たちです。漁師さんや農家さん、職人さん、フリーランスの方など、それぞれが自分の場所で、自分なりの働き方を選び、しっかり生活を成り立たせていました。その姿を見て、「オフィスで働くことだけが正解じゃないんだ」と、心から思えた瞬間がありました。
そして印象的だったのが、地方の飲食店や旅館のオーナーさんたちとの会話でした。どのお店も料理や空間、地域の文化には強いこだわりがある一方で、「SNSをやりたいけど、やり方がわからない」「広告にお金は出せないけれど、人を呼びたい」と悩んでいる方が本当に多かったんです。このまま知られないまま、素敵な味や文化がなくなってしまうのは、あまりにももったいない。そう強く感じました。
収入の多さや肩書きではなく、「自分が納得できる生き方」を大切にしながら働いている。その一方で、発信の手段を知らないだけで、魅力が届いていない現実がある。そのギャップに触れたことが、「場所や環境に縛られず、自分らしく働ける人を増やしたい」「SNSを通じて、想いや価値がきちんと伝わる仕組みをつくりたい」という思いにつながっていきました。
——学生に向けて、今だから伝えたいメッセージはありますか?
学生時代は、人生の中でも特に自由度が高く、失敗してもやり直せる貴重な時間です。だからこそ、今しかできないことに全力で取り組んでみてください。勉強でも、遊びでも、旅でも、何でもいいので、自分が「やり切った」と思える経験を一つでも持っておくことは、後々必ず自信になります。一方で、「遊び尽くすこと」と「挑戦すること」は、どちらか一方だけでなく、バランスが大切です。ただ楽しいだけの時間も大事ですが、少し怖いと感じる挑戦に一歩踏み出してみることで、自分の世界は大きく広がります。その両方を経験できるのが、学生時代の強みです。
そして、後悔しない選択をするために意識してほしいのは、「他人の正解」ではなく「自分がどう生きたいか」を基準に考えることです。周りと比べて選ぶのではなく、数年後の自分が振り返ったときに「やってよかった」と思えるかどうか。その視点を持って選択していけば、たとえ遠回りに見えても、後悔の少ない人生につながると思います。

勝村 悠里
代表取締役
営業の現場で多くの経営者と接する中で、理想とする女性経営者に出会い、「場所や時間に縛られずに働く生き方」を志す。30歳前後での出産や、旅をしながら働く人生設計を描き、日本一周の旅へ。自身の経験を原点に、「自分らしい言葉で発信できる人を増やしたい」という想いから株式会社Sunshoreを設立、“あなたになりきるAIライター”サービス「カッテニ」を開発・提供している。