早朝のグラウンドで積み重ねた日々は、チームをどこへ導くのか——島根大学男子ラクロス部
島根大学男子ラクロス部、通称BLUE SERPENTS(ブルーサーペンツ)は、1996年の創部以来、中四国の頂点を本気で目指してきました。仲間と支え合いながら、日々ラクロスと向き合っています。選手だけでなく、マネージャーや幹部も含めた全員が主体的にチーム運営に関わり、目標に向けて努力を続けています。今回は、幹部の大山凪湊さんにお話を伺い、BLUE SERPENTSが大切にしている文化や、強さの裏側にある工夫、そしてこれからのビジョンについてお伝えします。
——部の概要について教えてください。
BLUE SERPENTSは島根大学構内のグラウンドを拠点に活動しています。練習は火曜・木曜の朝6時から8時、土日は9時から12時までです。少し早い時間帯ではありますが、その分、授業やアルバイトと両立しやすく、部活だけに偏らない大学生活を送ることができます。現在は1年生14名、2年生16名、3年生4名で、4年生は引退しています。マネージャーを含め、全体で30名強のチームです。文系と理系の割合は4対6くらいです。1年生はマネージャーが4人で多く、新歓がかなりうまくいった年でした。メンバーは学部や経験の有無もバラバラではありますが、その分、いろいろな考え方を持った人が集まっており、チームとしては面白い構成だと感じています。

——年間の活動の流れと、活動する上で大切にしていることを教えてください。
2月から3月に春合宿を行い、4月から5月が新歓期間、その後7月から10月にかけてリーグ戦が続き、11月に引退という流れです。リーグ戦が一番の勝負どころなため、春からその戦いを見据えて少しずつチームを仕上げていきます。最も大切にしているのは、部活一色の大学生活にしないことです。勉強やアルバイトもきちんと行った上で、その中で本気でラクロスに取り組むというスタンスをチーム全体で共有しています。朝練にしているということもその一環で、限られた時間の中でどれだけ集中できるか、どれだけ質を高めることができるかを常に意識しています。短い時間でも、本気で向き合えば結果がついてくるという感覚を部員全員が持っていると思います。
——BLUE SERPENTSのチーム名の由来を教えてください。
BLUE SERPENTS(ブルーサーペンツ)という名前は、島根に伝わるヤマタノオロチの伝説が由来になっています。強くてしなやかで簡単には倒れない存在でありたいという想いが込められています。ロゴにもオロチをモチーフにしたデザインを採用しており、試合の時には「この名前に恥じない戦い方をしよう」という意識が自然と高まります。
——チームとして大事にしている考え方はありますか?
私たちが一番大切にしているのは、「勝利」「挑戦」「仲間」の3つです。ただ勝つことだけを目標にするのではなく、その過程でどれだけ本気で挑戦できたか、どれだけ仲間のために行動できたか、をとても大事にしています。ラクロスは個人競技ではないため、誰か一人が頑張るだけでは絶対に勝つことはできません。調子が良い日も悪い日もあり、その波をチーム全体で支え合いながら乗り越えていくことが、結果的に一番の強さになると思っています。実際に、今年度成し遂げることができた1部への昇格も、特別なスター選手がいたからではなく、日々の自主練や声かけ、試合後の反省会など、地味な積み重ねを全員が続けてきた結果だと感じています。うまくいかない時ほど、次はどうするかを前向きに話し合える雰囲気があることもこのチームの良さだと思います。勝ちたいという気持ちを原動力に、仲間との信頼関係を深めながら成長していくことで、引退した時に結果だけではなく、このチームで過ごした時間を誇れると思えるような活動を続けていきたいと考えています。

——練習や日々の活動で工夫していることはありますか?
練習では、限られた時間でどれだけ質を高めることができるかを常に意識しています。活動は朝が中心のため、全員が万全のコンディションとは限りませんが、それでも高い集中力で取り組めるよう、練習の冒頭でその日のテーマや目的を共有し、全体の意識を揃えてからメニューに入るようにしています。また、与えられた練習をこなすだけで終わらせず、なぜこの練習を行うのか、今のプレーの選択は正しかったのかといった点を各自が考えることを大切にしています。練習後には自然と輪ができ、動画を見ながら改善点を話し合ったり、上級生が下級生にアドバイスを送ったりする光景も日常的です。フィジカル面でも、筋力トレーニングやコンディション管理を重視し、自主練に誘い合ったり、疲労がたまっている選手には無理をさせないよう声を掛け合ったりしています。一人ひとりの成長だけではなく、チーム全体で強くなることを意識した環境づくりが、日々の活動の中に根付いています。
また、1部昇格にたどり着けた背景には、昨年から京都工芸大学の方がアシスタントコーチとして携わってくださる中で、練習だけではなく、ミーティングや日々の意識の部分まで丁寧に教えていただきました。それまでは受け身の姿勢も強かったですが、コーチが来てくださってからは、なぜ今やるのか、この戦術の意味は何かをより一層強く自分たちで考えるようになりました。
——他大学との関わり方や普段の取り組みについて教えてください。
他大学とのつながりは、チームの成長に欠かせないものであると考えています。リーグ戦や新人戦の運営を通じて知り合った大学とは積極的に連絡を取り合い、定期的に練習試合を実施しています。試合だけではなく、映像を共有したり、戦術について意見交換をしたりすることで、自分たちだけでは気づけない課題や、新しい視点を得られています。特に互角に戦うことのできるチームや、自分たちとは異なるスタイルを持つチームとの対戦は、大きな刺激になります。相手はなぜこの戦い方を選んでいるのか、自分たちならどのように対応するか、と考えることが戦術理解を深めることにもつながっています。普段の活動では、分析担当が中心となって試合データや映像を整理し、ミーティングで全体に共有しています。下級生に対しても、プレーの意図やチーム戦術を丁寧に説明し、感覚だけに頼らず、考えてプレーする力を養うことを重視しています。こうした積み重ねが、学生主体のチームでありながら高いレベルで戦い続けられる土台になっていると感じています。
——チームとしての今後の目標を教えてください。
今後の目標は中四国制覇です。岡山大学や徳島大学といった強豪校は、簡単に勝つことのできる相手ではありません。ただし、直近では、オフェンス面でも少しずつ差がを詰められている手応えがあります。守備でも十分に戦うことのできる感覚が生まれてきました。今年は1部昇格した勢いを無駄にせず、主体的に動くチームであり続けることを大切にしたいと思っています。コーチから学んだことを受け継ぎつつ、自分たちで考え、行動し、勝ちにいく集団になりたいと考えています。また、目先の結果だけではなく、後輩たちが自然と同じ基準で努力できるような文化をチームの中に根付かせていくことも大事にしていきたいと考えています。毎年メンバーが入れ替わっても強さを保ち続けることができる安定したチームになることが理想です。

——応援してくださる方へメッセージをお願いします。
島根大学ラクロス部は中四国制覇という目標に向けて、日々本気で練習に取り組んでいます。人数も多くなく、決して恵まれた環境ではありませんが、それでもここまでくることができたのは、応援してくださる方々の存在があったからです。皆さんの声援は、本当に大きな力になっています。これからもBLUE SERPENTSらしく、一歩ずつ前に進んでいきますので、引き続き応援していただけたら嬉しいです。
1部昇格はゴールではなく、あくまで新たな挑戦の入り口です。思うように勝てない時期や、人数や環境の制約もある中で、それでも彼らはそのたびにチームの在り方を見つめ直し、前へ進む選択をしてきました。中四国制覇という大きな目標に向かい、BLUE SERPENTSはこれからも確実に前に進み続けます。きっとその歩みは多くの人の心を動かしていくでしょう。