“楽しい”だけじゃ終わらせない。勝ちに向かう組織力——琉球大学アメリカンフットボール部
琉球大学アメリカンフットボール部STINGRAYSは、「仲の良さ」だけに甘えず、「勝利」に本気で向き合うチームづくりを意識して日々練習に取り組んでいます。
部員72名という大所帯をまとめ上げる組織力。プレイヤー・マネージャー・アナライジングスタッフが一体となる運営体制、そして「一部昇格」という明確な目標に向かう覚悟。
今回は、キャプテンの正法地徳希さんをはじめ、部を支えるメンバーに、部の強みや日々の活動、目指す目標や支えてくれるサポーターへの感謝について話を伺いました。

——部の活動概要について教えてください。
琉球大学アメリカンフットボール部STINGRAYS(スティングレイズ)は、1987年に設立された部です。「STINGRAYS(スティングレイズ)」という名前は、「鋭く刺す」という意味合いを持っており、相手に鋭く立ち向かっていく姿勢を表しています。活動拠点は大学東口グラウンドで、火・木曜日の18時半から、土曜日は8時半から練習に励んでいます。
現在の部員数は、1年生30名(マネージャー10名、アナライジングスタッフ8名)、2年生20名(マネージャー3名)、3年生10名(マネージャー2名、アナライジングスタッフ3名)、4年生12名(マネージャー4名、アナライジングスタッフ2名)の合計72名(取材当時)で、プレイヤーだけでなく、マネージャーやアナライジングスタッフ(AS)、広報スタッフも在籍しています。学年ごとの人数にはばらつきがありますが、特に1年生の人数が多く、チームとしても大所帯と言えます。
——マネージャーやアナライジングスタッフはどんな役割を担っていますか?
私たちの部では、大きく分けて「プレイヤー」「マネージャー」「アナライジングスタッフ(AS)」の3つの立場があります。
アナライジングスタッフは、試合や練習の映像をもとに相手チームや自分のチームのプレーを分析し、戦術面からチームを支える存在です。試合中もデータを取りながら状況を整理し、次のプレー選択につなげています。マネージャーは、記録や運営、日々の練習サポートなどを担い、競技を円滑に進めるうえで欠かせない存在です。表に立つことは少なくても、チームが機能するための土台を支えています。ミーティングは内容によって参加メンバーが分かれており、戦術やプレーに関する話はプレイヤーとアナライジングスタッフを中心に行い、部全体の方針や運営に関する話はマネージャーも含めて共有しています。さらに少人数で構成されている広報スタッフは、部の協賛活動を担っています。
それぞれ役割は違いますが、立場に上下はなく、それぞれの役割が一体となってチームをつくっているという意識が、私たちの強みだと感じています。

——部の強みは「人数の多さ」や「仲の良さ」だと伺いました。詳しく教えてください。
まず「人数の多さ」ですが、私たちアメリカンフットボール部は、実際に琉球大学の部活の中でも人数が多い部の一つです。もともとの部員数が多い上に、新歓期に新入生が加わると、イベント開催時には参加人数が全体で100人を超える規模になることもあります。この「人数の多さ」は、新歓やチームの雰囲気づくりにも活きてきます。4月は土日ごとにスポーツ大会や海でのBBQ、北部へのドライブなど、“沖縄を堪能してもらう”大きめのイベントを毎週末のように入れています。そういうイベントに集まり、最終的に入部を決めるメンバーは、「みんなと仲良く」「和気あいあいと楽しく過ごしたい」という感覚を持っていることが多く、結果的に、最初の段階でチームの空気ができていきます。
次に「仲の良さ」については、何か特別な仕組みがあるわけではありません。私たちは上下関係に関係なくコミュニケーションを取ることを大切にしており、学年を超えて練習以外の時間に旅行したり、食事をしたりすることもあります。たとえ練習中にトラブルが起きたとしても、話し合いながら解決できる信頼関係があるのは、このチームの良さだと思っています。人数が多いからこそ刺激もあり、仲が良いからこそ、チーム運営やコミュニケーションも円滑に進みやすい──そういう意味で、「人数の多さ」と「仲の良さ」は私たちの強みとして活きています。
——琉球大学、そしてアメフト部を選ぶ理由は何でしょうか?
まず琉球大学を選ぶ理由として多いのは、「沖縄で大学生活を送りたい」という想いです。実際、部のメンバーには県外出身者が多く、日本各地から集まっています。沖縄の自然が近く、のびのびとした環境で学生生活を送りたいというイメージに惹かれて、琉球大学を志望する人は少なくありません。
その中で、アメリカンフットボール部を選ぶ理由としてよく聞くのが、「大学では本気で何かに打ち込みたい」という気持ちです。新歓イベントでは、仲の良さや雰囲気の良さを感じてもらえる一方で、練習見学に来ると競技に対する本気度や厳しさも伝わります。そのギャップを見たうえで、「ここなら中途半端では終わらない」「本気で挑戦できそうだ」と感じて入部を決めています。また、アメフトは大学から始める人がほとんどの競技です。経験の有無に関係なくスタートラインに立てる点も、挑戦しやすさにつながっています。沖縄という環境で、新しい競技に本気で向き合い、仲間と一緒に成長したい。そうした想いを持った学生にとって、STINGRAYSは選ばれる存在になっているのだと思います。
——部の目標や目指すゴールについて教えてください。
私たちが掲げている目標は、九州学生アメリカンフットボールリーグ一部昇格です。この目標をチーム全体で共有し、日々の練習に取り組んでいます。特に意識しているのは、「なんとなく頑張る」のではなく、全員が同じゴールを見据えて行動することです。キャプテンとして、練習のたびに目標や今の立ち位置を言葉にして伝え、チームの意識をそろえるよう心がけています。2024年は、昇格戦を目前にしながらも、あと一歩のところで敗れる悔しい結果となりました。その経験を通して、「自分たちはまだ足りていなかった」という現実を突きつけられ、慢心や甘さがあったのではないかと、チーム全体で振り返りました。だからこそ2025年は、これまで以上に覚悟を持って勝利を目指す一年だと位置づけています。一部昇格という明確なゴールに向かって、一つひとつの練習や試合に全力で向き合い、結果で示していきたいと考えています。

——協賛企業やOBとのつながりで意識していることはありますか?
私たちが協賛企業やOBとのつながりを大切にしている背景には、沖縄という立地ならではの事情があります。九州学生リーグで戦う中で、沖縄にあるチームは僕たちだけなので、遠征費や医療費などの負担がどうしても大きくなります。そうした状況を気にかけてくださったトレーナーやスタッフの方々の提案もあり、「応援されるチームでありたい」という思いから、広報活動に力を入れるようになりました。大学からの補助はほとんどなく、活動費の多くを部員が自己負担しているからこそ、支えてくださる方々のおかげで私たちは練習に集中できています。協賛は企業だけでなく、OB本人やそのご家族など個人の方も多く、「応援してくれている人がいる」という実感は、チームの原動力につながっています。現状は金銭や物品提供が中心ですが、自分たちの取り組みを発信してもらえることも、とてもありがたいと感じています。
OBとの関係で特に大切にしているのが、年に2回行っているOB戦です。対戦や指導を通して代が変わってもつながりが続き、私たちの部を支える土台になっています。
——最後に、応援してくださる方々にメッセージをお願いいたします。
いつも琉球大学アメリカンフットボール部STINGRAYSを応援していただき、本当にありがとうございます。沖縄という環境で九州リーグを戦う中で、遠征や医療費など大きな負担がかかるからこそ、協賛企業の方々やOB、地域の皆さんの支えがあって、今の活動が成り立っていると日々実感しています。私たちは、「一部昇格」という明確な目標に向かって、仲の良さだけでなく、勝利にこだわるチームとして成長していきたいと考えています。
応援してくださる方々に結果で恩返しできるよう、これからも一日一日の練習に全力で取り組んでいきますので、引き続き、温かい応援のほど、よろしくお願いいたします。

プレイヤーだけでなく、マネージャーやアナライジングスタッフが立場を越えて役割を果たし、同じ目標に向かって行動する。その姿勢が、彼らのチームとしての強さをつくり上げています。制約の多い環境でも、目標を言語化し、仲間と向き合いながら前に進む経験は、部活動にとどまらず、社会に出てからも大きな糧になるはずです。ここで培われた力は、きっとそれぞれの未来を支えていくでしょう。
執筆:青木千奈(株式会社Koti)