医療業界の研究ポイント|主要分野や市場動向・職種を解説
医療業界は、人々の健康を支える役割が大きく、景気変動にそれほど左右されない安定した市場です。医療機関の他に、医薬品関連、医療機器、商社など様々なジャンルがあり、業界研究がうまく進まないこともあるでしょう。この記事では、効率よく進めるために医療業界の研究ポイントを、主要分野や市場動向、職種などを基にして解説します。
医療業界研究のポイントに必要な主要分野の理解

医療業界を理解するためには、主要となる分野の理解が必要です。医療機関だけを連想しがちですが、主に次のような分野があります。
- 医療機関
- 製薬業界
- 医療機器メーカー
- 医療商社
医療機関の仕組み
医療機関とは、医師や看護師などが患者に直接診断や治療などを行う施設のことです。業界研究を行う際に、診断や治療など以外に、クリニックの運営についても把握する必要があります。
運営には利益が必要ですが、医療機関には地域の医療を守るといった使命があり、安定した経営の継続が重要です。近年、診療報酬の改訂や設備を更新する費用、さらに人手不足が重なり医療機関の経営は大変な状況が続いているため、対策方法をアピールするとよいでしょう。
また、医師や看護師以外に、医療事務をはじめとした事務や経営における専門家の需要も高まっています。医療機関の経営をサポートするプロであり、経営以外に地域との連携など、戦略的な業務を行うことが一般的です。そのため、希望する職種によっても、自分に合う病院は異なるでしょう。
近年役割を分担する地域医療構想が進んでおり、気になる病院がどのような立場であるのかを分析することが重要です。病院がおかれている立場によって、求める人材が異なる場合があります。
製薬業界の職種
製薬業界の企業は、薬を研究、開発して製造していることが特徴です。新薬が登場するまで、10年以上かかることが多くその費用は数百億円以上といわれます。そのため、研究においてどのような点に注力をおいて開発しているのか、また主要となる製品をチェックしましょう。
また、製薬業界には、さまざまな職種がありますが代表的なものはMRです。MR(Medical Representative・医薬情報担当者)は自社が開発した医薬品の情報を医師や薬剤師などに提供する、広報や営業の役割です。
一方的に進めるのではなく、副作用をはじめとした医薬品に関する情報を持ち帰り開発に活かす役割もあります。近年では、がんをはじめとした疾患を専門としたMRも登場しており、高齢化する社会において需要が高まっているといえるでしょう。
医療機器メーカー
医療機器メーカーは、ペースメーカーや注射器といったよく利用されるものから、CTやMRIなどの大型装置などさまざまな製品を扱う企業が存在しています。電子工学や機械工学などに特化した専門家が揃っていることが特徴です。
医療機器メーカーによって、内科や整形外科など特化した分野が異なるため、目指す人は公式ホームページなどで確認をしましょう。また、近年ではデジタル技術を活用して、高度な治療を実現できる機器の開発が進んでいます。
AIを使ったEdTechも延びており、現在の課題をどのように解決するのか、リサーチすることが大切です。特に、工学を勉強している人は実績を確認して、自分に合うかどうかの判断をしましょう。
医療機器メーカーの営業は、医師や医療従事者に寄り添って、機器の使い方から運用まで寄り添ったサポートが大切です。需要の高い分野ではありますが、海外メーカーのシェアが高いことから、どのような強みがあるのか、将来性はあるのかなど詳しく分析する必要があります。
医療商社
医療商社の仕事は、医療機関と医療機器メーカーをつなげることです。医療機器を医療現場に提供するほか、運用サポートまで一貫して行います。医療機器メーカーも同じ動きをしますが、医療商社は複数のメーカーから製品を仕入れていることから、医療機関に合った製品の提案が可能です。そのため、深い知識が求められる業界となります。
そのため、医療現場と深いつながりを持つだけでなく、広い視点で医療従事者をサポートしたい人に向いている業務となります。また、医療機器開発メーカーが最先端の技術を活用する傾向にあるのに対して、医療商社は医師との間に位置しているといえるでしょう。
医療業界を研究するポイント|市場動向

医療業界を研究する上で市場動向を把握することで、将来性の確認が可能です。中でも次の3点において、研究を進めることが大切です。
- 医療の需要を把握する
- 医療DXの動向を理解する
- 医療費や薬価格について理解する
医療の需要を把握する
日本は高齢化社会が深刻となっており、医療業界にとって需要が拡大し続けています。ただ、患者が増えるだけでなく、認知症やがんなどの慣性疾患も増えており、医療には生活の質(QOL)向上が求められています。そのため、病院だけで治療を終わらせる流れから、在宅での療養が主となりつつあります。
医療業界にとって大きな変革であり、それぞれの分野で求められる内容も変化しているのです。例えば、医薬品メーカーは患者が自分の意志で薬を飲むケースが増えることから、飲み忘れを防止する取り組みが必要となっています。また、医療機器メーカーは離れた場所であっても、患者の状態がわかるシステムの開発を進めています。
業界研究をするにあたって、志望する医療機関や企業が現在のこの流れをどのように受け止め対応しているかを明確にすることが重要です。治療だけでなく、在宅療養や予防医療などに取り組む医療機関や医療機関に高い将来性があるといえるでしょう。
医療DXの動向を理解する
医療業界においても、デジタル技術の導入によるDX化が進んでいます。単に現在の業務内容をデジタル化するだけでなく、これまでになかった診療や、患者への対応ができるようになっています。患者が家にいながら治療を受けられるオンライン診療や、AIを使った画像診断など、様々な最新技術が導入されているのです。
これらの技術によって診断精度が上がるほか、患者にとっても診療を受けやすくなりました。また、医療従事者の負担軽減にもつながるため、分析をする際にどれほど医療DXに取り組んでいるかを把握しましょう。学生時代に専門知識やITリテラシーを身につけた人は、大きなアピールポイントとなります。
H3:医療費や薬価格について理解する
医療業界において、国の政策が大きく影響します。中でも診療報酬や薬価格を引き下げる医療費抑制政策に対して、十分な対応が必要です。医療機関だけでなく、医療機器メーカーや薬品メーカーにとっても、利益が落ちる政策になります。
中でも製薬業界は薬価が下がることで、新薬開発が難しくなります。現状では膨大な費用や年月が必要となるため、特許申請中でも利益につながる希少疾患やバイオ医薬品を進めています。また、海外展開を進めている企業もあるなど、大きな動きが見られるのが特徴です。
このように、医療に関連する政策や国の動きは必ず最新情報を理解しておくことが重要です。そのうえで、自分はどのように貢献できるのかアピールするようにしましょう。
医療業界を研究するポイント|職種を把握

医療業界を研究するにあたって、希望する職種に関する特徴や求める人材などの把握が必要です。主な職種として、次の3つが挙げられます。
- 医療事務やコンサルタント
- 営業職
- 開発関連の業務
医療事務やコンサルタント
医療事務の仕事は診療報酬請求(レセプトとよばれます)から、カルテの作成、医師のサポートをするクラーク業務などが挙げられます。そのため、医療保険制度や薬など専門的な知識が必要となるほか、患者への対応力やPCスキルも重要です。需要は安定しており、未経験からでも比較的資格をとって就きやすい仕事です。
またコンサルタントとして、医療機関の経営戦略に携わる仕事もあります。収益を伸ばしたり、業務効率化を進めたりと対策を立案した上で、実行したあともサポートします。また、職員の育成やITツールの導入サポートなど、企業によって業務内容は異なることが一般的です。
営業職
医療業界において、営業職は製品を売ることだけでなく医療従事者に対して製品に関する条提供が重要です。また、MRは医薬品の情報を正しく医療従事者に届ける専門家であり、効能以外に服薬する際の注意点についても説明が必要です。そのため、医師と同等に話せる専門的な知識はもちろんのこと、コミュニケーション能力も求められます。
また、医療機器メーカーの営業職も扱う機器を実際に使う部屋に入り、操作を手伝ったり、実際に使う準備をしたりします。また、トラブルがあった際に即座に対応する行動力や、医療従事者と一緒に仕事をするといった協調性が重要です。医療機器の状態で治療の質が変わるケースもありますが、医療機関に貢献しているといったやりがいを感じられるでしょう。
どの分野でも共通しているのは、誠実な対応、また正しい情報を提供するといった点です。そのため、人間性の他に勉強し続ける姿勢も求められます。利益を優先して間違えた情報を提供してしまうと患者の健康を害する可能性があります。
開発関連の業務
医療機関にとっての開発関連とは、研究や臨床開発によって新しい機器や薬などを生み出す仕事です。新薬が国から承認を得るために、法規制に従って治験を実施、また管理する業務です。1つミスするだけで、承認が遅れてしまうため、医療機関や治験担当者とのコミュニケーションの他、事務処理能力も求められます。
また、研究職は、科学やバイオテクノロジーの知識を活かして、効果がでるような物質を探します。成功確率は低いのですが、多くの患者を救える業務であり、やりがいを感じる人もいるでしょう。また、近年ではAIを使った方法が導入され、今後も最新技術の活用が期待されています。
医療業界を研究するポイント|ステップを把握

医療業界に関連する情報は膨大であり、闇雲に研究を進めていても必要な情報をうまくつかめない、また時間がかかりすぎる可能性があります。そこで、次のステップを参考にして進めることで、効果的な分析が可能です。
- 経営計画やIR情報を把握する
- 企業の強みを把握する
- 現場の声を取り入れる
経営計画やIR情報を把握する
まず、気になる医療業界に属している企業が上場していれば、中期経営計画やIR情報の把握が必要です。また、直近数年の業績をチェックして、どの事業に最も力をいれているか、今後どのような将来性が期待できるかなどを把握できます。
中期経営計画を使って、これから5年以内にどのような取り組みをするのかを確認することが可能です。中期経営計画を把握した上で、自分がどのような分野で活躍できるのかをアピールできれば採用担当者の評価を高められるでしょう。
IR情報では、グラフなどを使って決算情報が掲載されています。企業の現状と取り組みを決算面で確認できます。また、数値を使った分析ができるので、論理的なアピールをしやすくなるでしょう。
企業の強みを把握する
次に企業の強みを把握する必要があります。企業のホームページや公式SNS、業界誌などで情報を確認するほか、同じ取り組みをしている競合他社と比較することで、新たな強みが見えてくる場合があります。
また、競合他社と比較をすることで、面接でよく聞かれる「なぜ弊社を選んだのですか」といった問いに詳しく回答がすることが可能です。「競合他社のA車は広い領域が対象となっていますが、御社は特定の病気に集中しており、患者一人ひとりに寄り添った対応をしている点に惹かれました。」と比較をすることで、答えられる内容が深くなります。
現場の声を取り入れる
業界研究は、ホームページや公式SNSだけでなく現場の声を取り入れることが重要です。OBやOG訪問をできる環境であれば、積極的に参加するべきです。現場の声を聞いて、良い面だけでなく苦労した点や、就活で工夫した点などの情報を入手することで、就活に活かせます。また、採用後のミスマッチも減らせるでしょう。
また、医師や医療従事者とのコミュニケーションをとる際に、工夫している点を聞くのもよいでしょう。共感できる点があれば、自己PRや志望動機の作成に活かせます。また、説明会やセミナーなどが開催されていれば、同じように現場の声を聞くチャンスです。
医療業界の研究ポイントを活かして就活を進めよう
医療業界は専門性の高さと、領域の広さが特徴です。そのため、やみくもに業界研究を進めていても、時間を浪費するだけで、必要な情報を得られない可能性もあります。そこで、主要分野や職種ごとの特徴を理解した上で、客観的なデータとリアルな声を集めるとよいでしょう。ポイントを理解した上で業界研究を進めることで、効率的に就活を進められます。