大学も世代も越えて、“旅”が人をつなぐ。——東京大学旅行研究会
「旅行」をきっかけに、人と人、大学と大学、そして世代を超えたつながりが生まれていく。
東京大学旅行研究会は、230名を超える大規模サークルでありながら、誰もが自分のペースで関われる“開かれた空気感”を大切にしています。合宿や旅行といった活動の裏側には、学生主体で企画・運営を行い、試行錯誤を重ねてきた歴史があります。
今回は、代表の佐伯航太郎さんにお話を伺い、団体の特徴や大切にしている価値観、今後挑戦したいことについてお伝えしていきます。
——団体の概要やメンバー構成を教えてください。
東京大学旅行研究会は、名前の通り「旅行」を軸に活動している学生サークルです。メンバーは1年生から院生まで幅広く、東京大学と他大学の学生がちょうど半々。大学や学年の垣根を越えた交流が特徴です。構成は1年生100名、2年生60名、3年生30名、4年生20名、院生20名の合計230名で、文理比率は理系5割・文系5割です。(取材当時)活動自体は非常にオープンで、「旅行が好き」「外に出るのが好き」という共通点さえあれば、誰でも自然に馴染める雰囲気があります。

——具体的には、どのような活動を行っていますか?
年間のスケジュールは以下のとおりです。
2〜3月:春合宿
4〜5月:新歓
8・9月:夏合宿
12月:年末イベント
日常的な活動は、月に2回ほどの食事会です。渋谷や新宿など都内で集まり、ご飯を食べながらメンバー同士が交流する機会を設けています。さらに、長期休暇中には合宿や旅行を実施しています。行き先は国内に限らず、海外に行くこともあり、年によって内容はさまざまです。ちなみに2025年の夏合宿の開催地は韓国でした。また、年末イベントでは、レンタルスペースを借りてビンゴ大会を開催したり、いつもの食事会をより豪華にしたりなど、旅行以外の企画も定期的に実施しています。
「毎週必ず参加しなければいけない」といった縛りはなく、それぞれのペースで関われるのも、このサークルの特徴です。
——サークルの規模が大きい中で、運営はどのように行われているのですか?
2025年現在、運営に関わっているメンバーは約15名です。食事会の企画や合宿の運営、新歓対応や広報・協賛対応など、それぞれ役割を分担してサークルを回しています。
会員数が多い分、運営は決して楽ではありませんが、その分しっかりとした体制が整っています。「イベントサークル」というよりは、メンバーが自発的にイベントの企画・運営を行える組織だと感じています。
——過去のイベントで印象に残っているエピソードはありますか?
特に印象に残っているのは、韓国で行った合宿です。その年は1年生が中心となって運営を担っていたのですが、準備が大変だったにもかかわらず、ほぼ徹夜で準備を進め、そのまま合宿をやり切っていました。準備は大変でしたが、1年生が最後までやり切った姿にサークル全体の成長を感じました。
——メンバーの特徴や雰囲気を一言で表すと、どんなイメージですか?
落ち着いた雰囲気の中にも、旅行となると一気に盛り上がる快活さがある——そんな“静と動のバランス”が魅力です。メンバーは基本的に落ち着いていて優しい雰囲気ですが、旅行やイベントの場面になると一気に活気が出て、自然と盛り上がれる人が多いです。無理にテンションを上げる必要はなく、それぞれのペースを尊重しながらも、集まるとちゃんと楽しい空気が生まれるため、そんな居心地の良さが、このサークルの特徴だと感じています。

——OB・OGとの関わりについても教えてください。
OB・OGとのつながりが強い点も、東京大学旅行研究会の大きな特徴です。毎年1回以上はOB・OG会が開催されており、そこでは就職活動の相談に乗ってもらったり、「この業界はどう?」といった具体的な話を聞ける機会があります。参加されるOB・OGの年代も幅広く、、若手からベテランまで、多様なOB・OGが顔をそろえます。世代を超えた交流が自然に続いていく点は、このサークルならではです。
また、OB・OG同士で行う「OB・OG旅行」も続いており、仕事の話から趣味の話まで、交流が今も大切にされています。年によっては現役生が参加できることもあり、現役とOB・OGの距離が近いのも魅力です。こうした継続的なつながりがあることで、人との縁が長く続くサークルとして成長し続けています。
——毎年多くの新入生が入会する理由はどこにあると思いますか?
毎年多くの新入生が集まり続けている理由のひとつは、「新歓を途絶えさせないための工夫」を毎年アップデートしているからです。大前提として大切にしているのが、SNSとビラ配りを必ずやること。東大生に向けては、毎年東大構内でのビラ配りを欠かさず行い、そこで興味を持ってくれた人たちを入口にしています。一方で、他大学の学生についてはSNSを活用した新歓を行い、大学の枠を越えて参加しやすい導線をつくっています。
ただ、同じやり方を続けるのではなく、「東大生の比率が高くなりすぎる」「逆にSNS経由で他大学の比率が上がりすぎる」といったバランスの課題も毎年振り返っています。その上で、次の年はどう改善するかを話し合い、2026年度はチラシやビラを一新し、各大学に実際に足を運んで新歓を行う方針も検討しています。

——協賛企業との関わりについて、どのように考えていますか?
協賛企業との関わりは、「まずはやってみる」というスタンスを大切にしています。サークルとして、協賛内容を最初から限定することはあまりなく、どんな形のご相談でも一度受けてみて、その中でどう関われるかを考えるという姿勢のメンバーが多いです。そのため、協賛案件については気軽に声をかけていただけたら嬉しいなと思っています。特に来年以降は、これまでの活動に加えてまちづくりや地域おこしに関わる取り組みにもチャレンジしていきたいと考えています。地域と関わるプロジェクトそのものが活動になるので、必ずしも大きな予算が伴わなくても、地域のプロジェクトやイベント参加など、多様な関わり方に柔軟に対応できます。
具体的には、地域のプロジェクトを学生主体で進めていく形でも、地域のお祭りやイベントのボランティアに参加する形でも、どちらも歓迎しています。内容に応じて、建築やまちづくりを学んでいるメンバーが中心となって動くこともできますし、地域に行くこと自体を「一つの旅・体験」として楽しむこともでひとつのあり方です。協賛企業の皆さまには、「学生とともに新しい価値をつくるパートナー」として、地域・企業の皆さまと挑戦できる機会を広げていきたいと考えています。
——最後に、学生や企業へメッセージをお願いします。
学生の皆さんには、「ちょっと面白そう」「やってみたい」という気持ちを大切に、ぜひ一歩踏み出してほしいです。旅行研究会は、旅を通して人や地域と出会い、自分の視野や可能性を広げられる場所です。大学生活の中で、後から振り返って誇れる経験を一緒につくれたら嬉しいです。
企業の皆さまには、「まずはやってみる」というスタンスで、柔軟に関わっていただけたらと思っています。協賛の形に決まりはなく、学生の発想や行動力と掛け合わせることで、新しい価値が生まれると考えています。ぜひ気軽にお声がけください。

東京大学旅行研究会で培われているのは、旅の知識だけではありません。多様なメンバーと関わりながら企画を進め、旅先で出会い、考え、動く経験は、社会で求められる“人と向き合い進める力”へとつながっていきます。
ここでの経験は、これからの人生に新しい選択肢と視点をもたらしてくれるはずです。
執筆:青木千奈(株式会社Koti)